2021年7月31日に新E.P.「Checkmate Ivory」と「Checkmate Evony」を2枚同時リリースした「逆に、ゆうちゃんバンド」(以下、GYB)。
リリースツアー真っ只中で多忙を極めるGYBだが、今回は特別にインタビューの機会をいただいた。
名古屋クアトロという大きな公演を目前に控えたGYBに、今回リリースしたCDやツアーに込めた想いを聞いた—————。
Hatsu
今日はよろしくお願いします。
まずはGYB初心者に向けて、GYBとはどのようなバンドなのか教えてください。
ゆうちゃん
良くも悪くもジャンルが「ウチはこういうバンド」って決めてないから、若い子からお年寄りまで楽しめるんじゃないですか!!
よしくん
そうだね、ウチは客層がけっこう独特で、10代の女の子もいれば40代のママとかパパもいて。だから聞かれたら一番怖いのが「ジャンル」だよね(笑)
ロックバンドに長く浸かってきたせんむとしては、どう思う?
せんむ
んーー、まあ俺は「どういうバンドですか?」って聞かれたら、「ロックバンドだ」って言うけど。
なんつーか、マインドだけがロック、みたいな?
Hatsu
マインド?
せんむ
正しいことは正しい、間違ってることは間違ってる、っていう3人の主張はブレない。
表現方法自体は、バラードもあるしアコースティックもあるし、エモとかポストロックとかもある。けどそういうジャンルっていうものはぶっちぎって、常にマインドだけがロックであり続けるバンドなのかなって。
よしくん
魂はロックだけど、ポップスをまとってる感じだよね。
「不良が上がった」みたいな?14〜15歳の時に不良をやりすぎて、18歳の時にはもう優しいみたいな(笑)
ゆうちゃん
一周回ったみたいな?(笑)
よしくん
そうそう。それこそGYBはもうすぐ(活動開始から)3年になるんだけど、1年目はほんと不良だったもんね。お客さんを楽しませるってのはもちろんあったけど、気に食わない人がいたらもう「出てけ!」ってくらいなニュアンスはあったよね。
だから、曲に反映されてるね。最初の1年目と今年出した曲では、やっぱ全然違うなーって。今の方がサウンドとかマインドはロックだけど、ポップスとしても全然聴けるような曲が多いなって思うかな。
Hatsu
なるほど、ロック好きだけじゃなく一般のポップス好きな人でも聴けるようなバンドなんですね。初めての人こそ今回のEPを聴いてもらいたいですね!
ゆうちゃん
そうですねー!
Hatsu
今回のEP(※)はGYB史上初の2枚同時リリースかと思いますが、なぜアルバムではなくE.P.2枚を選んだのでしょうか?
※EP…曲数がシングルよりも多く、アルバムよりも少ないCDのこと。
よしくん
そうだねー、曲数的には10曲のアルバムにもできたんだけど、今回のEPのテーマは「プレゼン」なんだよね。対関係者はもちろん、これから新しくGYBを知ってくれるお客さんに対しても、EP2枚なら一撃でわかるかなって。
アルバムって、1枚全部聴かないとどういうアルバムなのかがわかんないじゃん。EP2枚にすれば、「こっちがロック」「こっちがバラード」ってわかりやすいかなって。
ゆうちゃん
なんか両方武器って感じ。
よしくん
そうそう、ウチらの武器って両面性だから。ロックバンドだからロックしかできない、じゃなくて、ポップスのシンガーが歌い上げるようなバラードもできますよっていうのが強みだから。
ゆうちゃん
アルバムになるとどうしても、「バラードが2曲しかない」ってことになったりするじゃん。よっぽど全部聴いてくれる人には届くかもしれないけど、飛ばされちゃうとそもそもバラードを聴いてもらえなかったりするかもって。
Hatsu
2枚それぞれ、ロックとバラードに分けて入れてるんですね。では改めて、今回リリースした2枚のEPのタイトルを教えてください。
よしくん
まずロック盤の方が「Checkmate Ivory」、でバラード盤が「Checkmate Evony」っていう2枚になってます。
Hatsu
ありがとうございます。ちなみにバラード盤の「Checkmate Evony」について、正規のスペルは「Ebony」かと思いますが、なぜあえて違う表記にしたのでしょうか?
よしくん
最初タイトルは「白」と「黒」の2枚っていう予定だったんだけど——
せんむ
仮タイトルね。
よしくん
そう、仮タイトル。それがもうちょっと凝ってもいいよねって時に、「ivory」と「ebony」が浮かんだんだよね。ivoryは象牙でebonyは黒檀って意味なんだけど、実はそれぞれピアノの白鍵と黒鍵に使われてた歴史がある(※)みたいで。そんな対照的な色を表す言葉だからこそ、今回の2枚のEPにぴったりかなって。
それでいいんじゃないのってなってたんだけど、もうちょっと考えた時にチェスの白黒から「checkmate」って言葉が浮かんだんだよね。checkmateってタイトルには、「この2枚のEPをもってして現状にとどめを刺しに行く」っていう想いを込めてて。
もちろん今でもいい活動はできてるんだけど、そろそろもう一個上のステージに行かないとなって気持ちもあって。そこでEP2枚のタイトルはほぼ決まったんだよね。
ただそこで、西田(GYBのサポートドラマー)だったかな?が「ebonyは差別的な表現を連想させる言葉だ」って言ったのよ。であればいっそ造語に変えちゃおうって話になって、ivoryの方になぞらえて、victory(勝利)の「V」にしようって(笑)
※動物保護の観点や資源枯渇の問題から、現在では他の材料を使用するのが一般的となっています。
Hatsu
いろんな想いが詰まってるんですね。
よしくん
そうだね。この2枚で勝ちに行くぞってのがウチらのテーマだったから。
Hatsu
ちなみに、EPのタイトルと楽曲で何かリンクしてたりとかはあるんですか?
よしくん
あー、それは意外とないかも。
前回のウチらのEP「Voyage !!」(2020.7.25リリース)の時は、例えば収録曲の「THE DREAMER」とかが、EPタイトルのVoyage(航海)ってテーマに沿ってたけど、今回はそうじゃないもんね。
ゆうちゃん
そうだね。今回はテーマっていうか、白と黒みたいなのが先に出て、そこからだったからじゃない?
Hatsu
どっちが先だったんですか?曲を作るのと、EPを出そうって決定するのと。
ゆうちゃん
平行だったけど、EPの方が先だったんじゃない?
せんむ
今回はたぶん、テーマが最初。こういうのを作ろうぜ、から曲を作り始めたもんね。
よしくん
そうだね、そのせいかもね。前回は曲を作ってからテーマだったから、沿ってたのかもね。
Hatsu
新しくリリースしたEPの中で、特に想い入れの強い曲や聞き込んでほしい曲はありますか?
ゆうちゃん
全部(笑)
一同
(笑)
ゆうちゃん
いやなんかさ、これが代表曲だ!で、他の曲もあるよみたいな風になるかと思ってたんだけど。
曲が仕上がってくにつれて、なんか全部いいやんみたいな。どれも想い入れが強いし、言ってることも全部違うから、譲れないというか。そんな気持ちになっちゃった。
よしくん
俺はやっぱりEvonyの中に入ってる「極夜行」が、ずば抜けて想い入れが強いかな。
Hatsu
極夜行はよしくんが作詞作曲されたんですよね。
よしくん
そうだね、俺が17歳の時に作詞して。その時は音楽理論はまだ持ってなかったから、作曲は鼻歌でメロディつけるくらいだったけど。
当時もうせんむとは知り合ってたから、せんむのとこ行って、これにコード付けてよって言ったのね。
そしたら、こんなメロディは崩壊してるからコードは付けれないとか言われて(笑)
せんむ
もめたねー(笑)
よしくん
そうそう、せんむに思いっきりはじかれたの。
Hatsu
(笑)かなり難解な曲ですもんね。なんで音楽理論があまりない段階でそんなに難しい曲を——?
よしくん
んー、あんまり覚えてないんだけど、ほぼ降ってきたに近いっていうか。歌詞を口ずさもうと思う時に、そのメロディしか出てこなかった。
ゆうちゃん
ふぅーーー!言ってみたいぜ!
よしくん
だから俺は譲れなかったの。せんむがそれを言った時に、俺ちょっと幻滅したの。
あー、もうせんむはここが成長の限界なんだな、俺はもっと上行ってるんだなみたいな。尖ってる10代だから(笑)
で、もうこいつには聞かねーって、曲持って帰って。でも俺も全然知識ないから、結局完成はしなくて。
そのまま20歳超えて、25歳の時かな?俺がまだソロでCD出してた時に、初めて完成したんだよね。一応。せんむと西田の力、あと当時の仲間の知恵を借りて。
で自分で歌も歌って(CDを)出したんだけど、その時の録音環境とか今と比べると全然しょぼかったから、納得いく仕上がりになんなくて。そのまま封印しちゃってたんだよね。
でも今でこそ、こんなにすごいボーカルがいて、俺もベース弾いて、せんむがギター弾いてくれてっていう環境ができて、これもっかいチャンスあるなと思って。でトライしたらすげーいい出来になったんだよね。
そんな背景があるから、極夜行だけは想い入れの期間が違うなーって。
Hatsu
せんむとしては、どうですか?この曲を聴いてほしいみたいな。
せんむ
俺は「花火」かな。
ゆうちゃん
取られた!せんむが花火って言うと思わなかった。
せんむ
すげー専門的な話になるんだけど、GYBでは図太い音をデフォルトで出してんだわ。Ryu Kuriya(=せんむ)は。で、花火では初めて繊細な音を出したというか。そういうサウンドを軸にしてアレンジ構想もしたのはある種チャレンジだったし。
俺は歌詞見ないで録音してたから、あんま詳しいこと考えてなかったんだけど。今出来上がって歌詞とか読んで、サウンド聴いて。ちょうどそのか細いサウンドが、火花の感じを表現できたのかなって。
Hatsu
ゆうちゃんは、特にこの曲が、とかはありますか?
ゆうちゃん
いや、花火って言われちゃったしなー。
わたしは(EPを)出した瞬間から、個人的にイチオシは花火だってずっと言い続けてて。ほかの曲もいいし、「証」とかも好きなんだけど。自分が聴く側の人間として一番好きだなって思うのは花火で。
初めてここまで、女の子らしい歌詞っていうか。女の子の心に寄り添える歌詞、共感できる歌詞って初めてだったのかなって思ってて。エモいし切なさもありつつ、今までどんな夏を過ごしてきたかな、って思い返すような懐かしさも感じる雰囲気なんだよね。
「君」とか「二人」っていう歌詞が最初の方に出てくるのに、最後になって急に——サビの入りが「一人で」っていう歌詞なんだけど——、一人だったの!?みたいな。
みんなそれを聴いてどう受け取ってくれるかわかんないけど、切ない気持ちになってくれるんじゃないかな。そこが押しポイント。わたしの中では。
Hatsu
なるほど、同じ曲でもギタリストとボーカリストで注目ポイントが違うんですね。
よしくん
2人がそう言うのと同じように、ファンの人でも今のところ一番人気は花火かなぁ。サブスクでも特に聴いてくれてるのは花火だったんだよね。
でも意外だった。今回のEPの中ではGYBっぽさが一番ない曲だったから、お客さんがどう受け取るかってのは気になってたんだよね。
ゆうちゃん
今までと全く違う感じだもんね。
Hatsu
じゃあ、仮にMVを作るとしたらどれを選びますか?
ゆうちゃん
いやーーーーー、それはちょっと困っちゃう質問だよね(笑)
証?花火?でも極夜行も作りたい。
よしくん
そうなんだよね、難しい(笑)
花火に関しては、これも俺が歌詞書いてるんだけど、受け取り手で決めてほしい内容になってて。だからわざと、1番のBメロとかでも言い切ってないの、情景を。例えば「誰々と誰々が口付けを交わした」みたいな歌詞を書いちゃうと、それってもう恋愛の曲になっちゃうし。
でもあえて情景を濁すことで、対象が誰にでもなり得るんだよね。それが恋人でもいいし親でもいいし、ペットでもいいし。大切な人に向けてっていう目線になれるから。
俺はそういう意味で花火は、濁したのよ。重要な部分を。これをPVとかにしようと思うと、言い切ることになっちゃうんだよね。
ゆうちゃん
決まってきちゃうもんね。
よしくん
だから花火のMVは難しいかなーって思ってる。
やるとしたらIvory1曲目の証とか?それはもうメッセージ性が確立してるから、PVにする価値がある曲かなって。
Hatsu
PVについては乞うご期待ということですね。
では、レコーディングや作詞作曲など、いつも以上に苦労した部分や制作秘話、裏話などはありますか?
ゆうちゃん
もうわたしは歌が難しすぎて、全曲もう普通の汗か冷や汗かわからない汗を流しながら歌ってたよね(笑)
よしくん
メロディは相変わらず難しかったですね(笑)
ゆうちゃん
ファンの人にも言ってもらった。あれはもう拷問だよ、とかって(笑)
それこそさっき話してた極夜行なんかは、私が今まで歌ってきた曲と全然違ってて。GYBの今までの曲って、パワフルにどんどん前にポーンって押し出す曲が多かった。「Angel」もバラードだけど、どっちかというと壮大なロックバラードだったり。
でも極夜行は出だしから真逆で。吐き捨てるじゃないけど、言葉を落としてくみたいな感じだから、どうやって歌うんだろ?って最初めちゃくちゃ悩んで。
最初(レコーディング)ブース入った時もよしくんが、もっと落としていいよ、みたいな言ってきて。
よしくん
歌わないで、って言ったもん(笑)
ゆうちゃん
——え、歌わないで?どゆこと?——みたいな(笑)
そこは苦戦したけど、新しい自分を一番見せれた場所だったかもしれない。
どうですか、楽器陣は?
よしくん
制作秘話というか、さっき話してた花火に関しては、実は今回は入れるつもりはなかったよね?一番人気だけど。
ゆうちゃん
このEPに入れる予定じゃなかったってことね。
よしくん
そうそう。だってロックっていうほどロックじゃないから。
ゆうちゃん
ちょっと曖昧よね。
よしくん
うん。でもバラードっていうほどバラードでもなくて。
じゃあどっちにも入らないね今回は、没じゃないんだけど次出そう、って話してたんだけど、なんか引っかかったんだよね。出すべきだって。
ゆうちゃん
あとわたしも言っちゃった気がする。これはやりたいから、もう出そうよって。
よしくん
で結局入れることになったんだけど。——それがみんな意外って思うかもね。
ゆうちゃん
一番いいのに入る予定じゃなかったんだ!みたいな。
せんむ
あと俺としては、全曲に転調(※)があるから、ものすごくアレンジの段階で悩んだかな。
※転調…曲の途中でキー(調)を変えること。
よしくん
たしかに。普通インディーズじゃ聞かないぐらいの(難しい)ことを全曲やってるもんね。
せんむ
まあ「Angel」と「STAY」は置いといて、残りの8曲は、転調してない曲ないから。
よしくん
「虹(虹 〜When the rain lets up〜)」に関しては、全セクションでしてるからね(笑)
せんむ
もうなんかマジ、ゲロ出そうだった(笑)
よしくん
その辺もそうなんだけど、一番の裏話は専務が絶大なもの一個持ってるでしょ。
せんむ
——なんかあったっけ?
よしくん
たぶんこれまだ、ファンの人は誰も知らないんじゃないかな?「Dream On」の、ベースが——
せんむ
——ああ、そう、Dream Onのベース、俺が弾いてるんだわ。
よしくん
——人から奪っといて何忘れてんの(笑)
Hatsu
どうしてせんむがベースを弾くことになったんですか?
せんむ
よしくんのベース録りって、凝りに凝るっていうか、テイクが多いのよ。
Hatsu
こだわってますもんね。
せんむ
こだわりも強いし、(ベース)ライン(※)も尋常じゃない(ほど難しい)から、どうしてもテイクが多くなる。
だから、ドライブ感に欠けちゃうなと思って。じゃあもう、俺がバーンと勢いで弾いちゃえ、みたいな。
※ベースライン…ベースが奏でるメロディにおける一連の流れのこと。
よしくん
えー、それ後付けじゃないの?
あの時の顔とか発言見てると、ただ弾きたかっただけなんじゃないかな、って見えたけどね(笑)
とりあえずこの曲だけは唯一、なぜか俺が何も弾いてないっていう。その代わり俺がめちゃめちゃ歌ってはいるんだけど。
Hatsu
よしくんがベースを弾いてないとは、ファンも衝撃ですね(笑)
よしくん
ホントだよね(笑)
Hatsu
では続いて、現在開催中の「Checkmate Tour」についてお伺いします。
お世話になっているライブハウスはたくさんあると思いますが、その中でも今回のハコを選んだのはなぜですか?
よしくん
まずスタート地点のMUSIC FARMはインディーズではだいぶ有名なハコだし、いつもめちゃめちゃお世話になってるハコなんだけど。
ていうかホームだからね。ウチのファンは知ってると思うんだけど、GYBのホームだから。
ゆうちゃん
間違いない。ファーストワンマンやったのもそこだし。
よしくん
だからツアー行くならホームからでしょ?っていうだけの話。
で大阪はそんなにつてがない中で——主催(ライブ)は大阪で初めてだったし——
唯一知り合いだったライブハウスのブッカーの人と話して、SHOVEL(Bigtwin Diner SHOVEL)に決めさせてもらいました。
そこまでは俺が組んだんだけど、その次の長野は、実はせんむがやってくれてて。
なんで長野はRadiusなんですか、先生?
せんむ
——明日までかかるけど大丈夫?
ゆうちゃん
長くなる(笑)
よしくん
——2分でお願いします(笑)
せんむ
俺が昔バンドをやってた時に、よく一緒に全国ツアーを回ってたバンドのベースボーカルが——俺と同い年なんだけど——、もう10年前に(Radiusを)建ててて。それから数年後に俺が音楽を一回やめたから、会えることはないだろうと思ってたんだけど。
GYBをやることになって、ファームがホームになって、少しずつ昔の知り合いと奇跡の再会を遂げて。その一環がそこだった。
あとはゆうちゃんが昔のアイドル時代に、北陸でもお世話になることが多かったみたいだから、そこと紐付けてRadiusを使うことがプラスになればいいなと思って。
よしくん
長野と新潟は、ゆうちゃんを待ってくれてる人たちが実はけっこういるんだよね。
ゆうちゃん
山梨に住んでた時に、小学校5年生ぐらいまで「ビームアクターズスクール」っていうスクールに通ってて。そこのアクターズスクールの人が、長野に異動して、イベントやったりスクールやったりしてたんだよね。その人が最初に長野を紹介してくれた。
ライブで——まだバンドやる前に——、アイドルで行くようになって、そこでお客さんが付いて。未だに応援してくれてるから、長野も行きたいなと思ってた。
よしくん
長野も行かなきゃって思ってもつてがなかったんだけど。実はせんむと縁があったってところから、Radiusを入れさせてもらったと。
Hatsu
なるほど、長野にはいろんな縁があったんですね。
よしくん
あとはまだ特に決まってるわけじゃないし、発表もしてないんだけど。実はCheckmate Tourの追加公演で、新潟行ったり東北行ったりとかも考えてて。
ゆうちゃん
番外編みたいな。
Hatsu
そうなんですか!じゃあ現在はライブの予定がない地域でも、まだGYBを見られる可能性はあるんですね。
ツアーファイナルの名古屋CLUB QUATTRO公演に対する意気込みはどうですか?
よしくん
元々クアトロ公演は、1年前のこの時期だったのよ。
ゆうちゃん
そう、9月。
よしくん
その時の名目が、GYB2周年と俺のバースデーイベントだったから、正直めっちゃ荷が重かった。周年とはいえ俺の誕生日も冠に付いちゃってるから、自分のバースデーをクアトロやんのか、みたいな。
ちょっと重いと思ってたんだけどがんばってて、でも急にコロナでダメになっちゃって。正直悔しかったし。で延期するしかないってなって、ゆうちゃんの誕生日に移動したんだよね。
ゆうちゃん
今年の3月3日とかだよね。
よしくん
まあゆうちゃんの誕生日なら人もいっぱい集まってくれるし。いけるいける、クアトロを消化してくれ!って思ってたんだけど。そしたら延期になっちゃって、再び。
で嫌な予感はしたんだよ、その時。したらやっぱり俺の誕生日にまた帰ってきやがって(笑)
ゆうちゃん
まるっと一年(笑)
よしくん
1年もすれば落ち着くと思ってたけど——なかなか情勢が落ち着かない中で——、先輩の言葉を借りると「やれりゃあ正解」かなって。とりあえずがんばります。
ゆうちゃん
わたしもほぼ一緒だよね。「やる」って言ったからやる。今までだったら、自分の理想の形じゃないとやるの嫌だなとか、(withコロナ時代の)こういう形だったらみんなあんまり楽しんでくれないんじゃないかとか、不安もあった。
でも今回の2枚のEPを出したタイミングで、純粋にGYBの音楽が好きって言ってくれるファンの人がより一層増えて。GYBの人間性だったりステージだったり、音楽っていう部分を見てくれる人が増えた今だからこそ、クアトロに向けた不安は実はあんまりないかなって。
厳しい情勢の中でも、自分たちのベストを出せるライブができるんじゃないかなって期待がある。
Hatsu
ツアーファイナルのクアトロ公演で集大成のライブを目指す、ということですね。
せんむとしてはどうですか?
せんむ
—————決戦ですね。
よしくん
ってかさ、(共有)カレンダーに「決戦」って入れたの誰?(笑)
せんむ
おれおれおれおれ(笑)
ゆうちゃん
せんむかよ(笑)
共有カレンダーのクアトロの日に「決戦」って入ってるよね。
せんむ
だって2回も延期してるわけじゃん。クアトロ公演の意気込みって言えば、それ以上でも以下でもないよね。
俺はたまに裏方の仕事もするけど、クアトロだけじゃなくReNY、ダイヤモンドホール、ゼップも、それをちゃんと埋められるアーティストのライブの袖(※)にいたりするわけ。
そこから見てると、この人たちは立ててGYBは立てないって、胸クソ悪くない?って感じる日もあるんだよね。だからそういう意味でも、決戦かなって。
※袖…舞台の左右の客席からは見えない部分のこと。
Hatsu
なるほど、ありがとうございます。
ではCheckmate Tourを終えた後にやりたいことなど、今後の野望や展望はありますか?
よしくん
んー、そりゃあ遠いところで言えば武道館とかナゴヤドーム(※)とか色々あるけど。近いところだとせんむと話してたセブンデイズとか?お世話になったハコを回って、7日間連続でツーマンをやるみたいなね。
※現在の正式名称は「バンテリンドーム ナゴヤ」
ゆうちゃん
目前だったら、オールナイト(イベント)とかやってみたい。年越しイベントを過去にやったくらいで、オールナイトってやったことないなって。そういう無茶苦茶なことやってみたい(笑)
Hatsu
オールナイトですか、それはせんむが飲んだくれてそうですね(笑)
せんむ
叶うんだったら、(ベロベロに酔って)記憶を飛ばした状態でライブしたいね。
よしくん
あとイベント系で言ったらやっぱフェス?大きい野外フェスは出てみたいな。
せんむ
もっと言っちゃえば、俺その裏方の仕事してて思うけど、こんなもん別に自分たちで作れんじゃね?って思っちゃう。
よしくん
そう、だから作りたいとさえ思ってるよね。野外フェスを。愛知県、東海とか。
ゆうちゃん
ハイハイハイ、今の話聞いて一個思ったことがある。山梨県で(普通に)ライブしたい。
Hatsu
やりたいことが無限にありますね(笑)
では最後に、GYBを愛してくれるファンの皆様に伝えたいメッセージはありますか?
よしくん
んー、実は(ファンに伝えたいことは)全部ライブで言っちゃってるんだよね。だから何言っても、もう言ってることじゃない?ってなっちゃう。
俺とせんむはけっこう曲を書くからさ、ライブのMCでも喋るし。言いたいことはライブで言ってるんだよね。
Hatsu
なるほど、ではライブに来れていないファンに伝えたいことはありますか?
よしくん
そうだね!それなら——どんな時でも、寄り添えると思います。GYBは。
楽曲のクオリティもそうだし、ジャンル、雰囲気、何をとっても「これぞGYB」っていうのがいい意味でないから。
ゆうちゃん
仕事疲れてる人でも、最近引っ越しした人とか周りの環境が変わって気持ちが落ち着かない人でも、受験がんばんなきゃって人でも——
よしくん
——ただ幸せな人でも、今日彼女とデートして初めてキスした人でも、実家に帰りたくてたまんない人でも、誰にでも寄り添える曲があるんで、一度聴いてみてください。
ゆうちゃん
今こんな情勢だからライブに来れない時もあるだろうけど、サブスクとかもあるので。
よしくん
ウチ今、カバー抜いたら25曲持ってるんですよ。2時間で聴けるんで、2時間ください(笑)
ゆうちゃん
それでいいなって思ってもらえたらね。そのうちライブハウスでも会えたら嬉しいし。
よしくん
2時間聴いたら、今その瞬間にぴったりな曲が1曲は絶対あるんで。それがまだ会ったことない人へのメッセージかな。
もう(GYBを)知ってる人は、ライブで言ってるとおりです(笑)
ちなみに曲のこととかをあんまり喋ってないのは、喋ると止まらないからなんで。興味ある人はTwitterとかに書いてほしいね。リプでもエアリプでも。
せんむ
俺はライブでもファンに接して話するとかあんまなくて、酒飲んでるだけだからさ(笑)なんでこの歳になってこんなことやってんのっていうのを、姿勢で見せたいと思っちゃうし。
でも強いて(ファンに対するメッセージを)言うなら、サブスクとかでもウチの曲を生活に入れ込んで聴いてもらって、もっともっと元気出してほしいなって。
ゆうちゃん
わたしがファンの人に言うとしたら、何があってもウチらはライブハウスでずっとみんなのこと待ち続けてるし——みんながどんな風に毎日生きてても——、ふらっと顔を出してくれたり会いに来てくれたり、そんな居やすい居場所であれたらいいなって。
だから安心してついてこい!って言いたいですね。
—————今回のインタビューを通して感じたのは、GYBがファンに対して真正面から全力で向き合うバンドだということだ。
楽曲やライブに強いこだわりを持ちつつも、常にファンを大切にしながら成長を続けるGYBだからこそ、多くの人間の心を揺さぶり続けるのだろう。